最終更新日 2015.12.07

東京大学大気海洋研究所共同利用研究集会
「2015年度海洋生態系モデリングシンポジウム」

開催概要

  • 日程
    平成27年 11月19日(木) 09:30-17:30  
        17:30-19:30 懇親会
      11月20日(金) 09:00-12:20  

  • 場所
    東京大学大気海洋研究所 2F 講堂
      〒277-8564千葉県柏市柏の葉5-1-5
      TEL 04-7136-6009

  • コンビーナー
    伊藤 幸彦(東京大学大気海洋研究所)
      <itohsach(a)aori.u-tokyo.ac.jp ((a)→@)>

  • 開催趣旨・概要

     本研究集会では、我が国の海洋研究各分野で高度化が進められている様々な生態系モデルとそれに関わる知見を、「地球科学としての海洋生態系モデリング」というキーワードの元に集結し、成果発表と議論を通してモデル開発者、ユーザー、非モデルユーザーを含む分野内、分野間連携を深め、次世代モデリングへの展開の基礎とすることを目的としています。
     本年は、海洋研究開発機構のSherwood Lan Smith氏、重光雅仁氏をお招きして生態系モデリングに関する特別講義を行います(東京大学大学院農学生命科学研究科水圏生物科学専攻の特別講義として単位認定可能です)。特別講義の一部はPCを用いた実習形式となっており、Smith氏の講義では統計解析ソフトR(lmodel2パッケージが必要)、重光氏の講義ではFortranとgnuplotをインストールしたPCの持参を推奨します(本ページにこれらのソフトをダウンロード可能なサイトを掲載しました)。
     一般参加者からのポスター発表と、口頭発表(若干数)も予定しています。また、ご発表いただいた内容を中心として和文刊行物に報告をまとめる(希望者のみです)ことを予定しています。


プログラム


 -11月19日(木)-
  • 9:30–9:45
    開会挨拶・趣旨説明 伊藤 幸彦(東大・大海研)
  特別講義1
  • 9:45–12:15
    Sherwood Lan Smith (JAMSTEC-RCGC)
    「Introduction to Optimality-based modeling of Plankton」

  • 12:15–13:15 休憩(昼食)
  • 13:15–14:15 ポスター発表

  特別講義2
  • 14:30–17:00
    重光 雅仁 (JAMSTEC-RCGC)
    「海洋低次生態系モデルMEM (Marine Ecosystem Model)の概要」

  • 17:00–17:30
    議論
  • 17:30–19:30
    懇親会

 -11月20日(金)-
  • 9:00-9:20
    伊藤 進一(東大・大海研)
     「海洋低次栄養段階生態系モデルの歴史とNEMURO」

  • 9:20-9:40
    橋岡 豪人(JAMSTEC-RCGC)
     「海洋の窒素固定モデリングの現状とモデル開発への取り組み」

  • 9:40-10:00
    重光 雅仁(JAMSTEC-RCGC)
     「海洋大循環モデルによるN2/Ar比の再現」

  • 10:00-10:20
    竹茂 愛吾(東大・大海研)
     「Atlantisを用いた沿岸域生態系モデルの構築」
    PPTダウンロード(68MB)

  • 10:30-11:15 ポスター発表
  • 11:20–12:00 総合討論
  • 12:00 閉会

ポスター発表(受付順)

  • 三角 和宏 (電中研・環境科学)
    「コロイド粒子の凝集による鉄の除去過程のモデリング」
  • 吉川 知里 (JAMSTEC-BIOGEOCHEM)
    「海洋低次生態系モデルへの亜硝酸塩の導入」
  • 加藤 彩愛 (東海大・海洋)
    「台湾東方沖の低気圧性渦における栄養塩動態」
  • 柴野 良太 (北大院・地球環境)
    「地球温暖化に伴う水産資源への影響評価:ハビタットモデルを用いて」
  • 山口 創一 (九大・総理工)
    「有明海における貧酸素水塊起源水のDO濃度変動要因」
  • 渡辺 路生 (JAMSTEC-SOUSEI)
    「次期 MIROC-ESM に向けた海洋生態系モデルの開発」
  • 鬼塚 剛 (水総研セ・瀬戸内水研)
    「八代海における有害鞭毛藻赤潮のモデリング」
  • 干場 康博 (東大・大海研)
    「MEM(MOVE-WNP_MEM)と遺伝的アルゴリズム(μGA)を用いたデータ同化」 MEM (MOVE-WNP_MEM) with data assimilation by a micro-genetic algorithm
  • 増田 良帆 (北大院・地球環境)
    「群集組成を決めるのは決定論的プロセスか、ランダムプロセスか?
     −植物プランクトン群集の場合」
  • 金子 仁 (東大・大海研)
    「渦解像生態系モデルを用いた北太平洋上層の硝酸塩収支の評価」



特別講義要旨

  • 特別講義1
    「Introduction to Optimality-based modeling of Plankton」

    演者:S. Lan Smith
    (海洋研究開発機構 ・地球環境観測研究開発センター・
     海洋生態系動態変動研究グループ 主任研究員 )

    要旨:
    This lecture will introduce the optimality-based approach for modeling the growth and other related processes of plankton. The main emphasis will be on how to derive and apply new equations to represent phytoplankton in models of lower-trophic ecosystems, which include marine and freshwater plankton ecosystem models. The central idea is that as plankton, like all life, evolved within a dynamically changing natural environment, they have adapted by natural selection to dynamically re-allocate their available resources, by re-arranging their physiology, in order to optimize their fitness. Particularly for single-celled plankton, growth rate can be taken as a reasonable proxy for fitness. First, the simple example of Optimal Uptake kinetics for nutrient uptake, and second a more recent example of optimal growth, will be presented with example calculations using R software. Finally, the specific optimality-based equations that have been applied in the Marine Ecosystem Model (MEM) will be presented with simple illustrations also using R, in preparation for the next lecture concerning that model, which will be presented by Dr. Masahito Shigemitsu.

     本講義では、プランクトンの増殖に関する諸過程を数値モデルで再現するための最適化に基づいたアプローチ(optimality-based approach)を紹介する。海洋および淡水域の低次栄養段階を対象とした生態系モデルの中で、植物プランクトンを表現する新しい方程式をどのように導き、また適用するかという点に主に重点を置く。このアプローチの中心となる考えは、プランクトンが他の生命体と同様にダイナミックに変化する環境の中で進化しており、環境への適応度を最大化するために、生理機能の調節によって細胞内の資源を動的に再配分できるよう自然選択を通して順応してきた、という点である。特に単細胞のプランクトンでは、増殖速度が適応度を測る良い尺度であると考えられる。本講義では、最初に簡単な例として栄養塩取込みのためのOptimal Uptake kineticsを、次により最近の研究例として増殖速度の最適化について、統計解析ソフト「R」を用いた数値計算例とともに紹介する。 最後に日本で開発された代表的な低次栄養段階の生態系モデルであるMEM(Marine Ecosystem Model)に採用されている、最適化に基づいた関係式(optimality-based equations)を「R」(lmodel2パッケージが必要)を用いて図や計算式などを示しながら紹介し、続いて行われる重光博士によるMEMに関する講義への準備としたい。


  • 特別講義2
    「海洋低次生態系モデルMEM (Marine Ecosystem Model)の概要」

    演者:重光雅仁
    (海洋研究開発機構 ・地球環境観測研究開発センター・
     全球海洋化学物理研究グループ・技術研究員 )

    要旨:
     海洋における物質循環過程や、気候変動に伴う低次生態系を介した物質循環の応答を調べる上で、低次生態系モデルは重要な役割を果たしている。近年、モデルの妥当性を検証できる観測データの増加とともに、モデルの高度化が進んできている。高度化の例として、鉄循環過程の組み込み、より現実的な植物プランクトンの栄養塩取り込み過程を表現できる定式化への変更、変動しうる生態学的化学量論比の組み込み等が挙げられる。本講義では、「鉄循環過程」、Smith博士の講義で説明のある「植物プランクトンの最適栄養塩取り込み過程(optimal uptake kinetics)」等を組み込んだ海洋低次生態系モデルMEM(Marine Ecosystem Model)(Shigemitsu et al., 2012JGR)の概要を紹介するとともに、当該モデルを実際に動かす実習を行う。モデル言語はFortranであり、結果の図化ソフトにはgnuplotを使用する。


  • ソフトウェアダウンロード(参考)(動作等はご自分の責任でご確認ください)
    ・GFortran (フリーのFortranコンパイラ):
      https://gcc.gnu.org/wiki/GFortranBinaries
    ・Gnuplot home: http://www.gnuplot.info
    ・gnuplot Mac版アプリ: http://www.muskmelon.jp/
    ・「R」(ミラーサイト):http://cran.ism.ac.jp

参加・発表申込み

     シンポジウムでの発表は、必要事項を記載の上、事務局までメールでお申し込みください。
     特別講義の聴講と懇親会 (11/19)も、準備のため申し込みをお願いしております(当日参加も可能です)。旅費支給をご希望の方も、事務局までお知らせください。懇親会は大気海洋研究所内での開催を予定しています。


  • 申し込み先: シンポジウム事務局
            cesd_eventstaff(a)aori.u-tokyo.ac.jp
             ((a)を@に変換して送信してください。)

  • 申し込み期日
    ・口頭発表 10月9日(金)(受付終了しました)
    ・特別講義聴講 10月16日(金)
    10月30日(金)(受付終了しました)
      (当日参加も可能ですが、講師の資料用意の為に
    ご協力をお願いします。)
    ・旅費支給 10月16日(金)(受付終了しました)
    ・懇親会 11月12日(木)(受付終了しました)
    ・ポスター発表 直前まで受け付けます。

  • 必要事項
    ・氏名
    ・所属
    ・メールアドレス
    ・特別講義(出席/欠席)
    ・懇親会(参加/不参加)
    ・旅費支給の希望(有/無)(予算の中で対応させていただきます。)

    ---以下は発表希望者のみ---
    ・発表希望(なし/口頭/ポスター/どちらでも)
    ・発表演題、著者名、著者所属(それぞれ和文、英文で)
    ・月刊海洋への執筆希望(有/無)


    ※関連リンク: 大気海洋研究所AORIニュース-研究集会






To page top