黒潮・親潮続流域の渦の挙動:

暖水塊、冷水塊、冷水性高気圧渦など

 
 

北西北太平洋に位置する黒潮・親潮続流域では、黒潮や親潮、津軽暖水等から数多くの渦が生成・移動・相互作用し、熱や物質の輸送、生物生産、漁業に極めて大きな影響を与えています。我々の研究グループでは、人工衛星による海面高度データおよび現場観測データを用いてこれらの渦の挙動と特性、熱や物質輸送に与える影響について調べています。

 

黒潮・親潮続流域の渦について

人口衛星が捉えた北海道沖の高気圧渦

参考資料・文献

  1. Characteristics of mesoscale eddies in the Kuroshio–Oyashio Extension Region detected from the distribution of the sea surface height anomaly, PICES annual meeting, Oct. 2009, Jeju, Korea [PDF]

  2. 伊藤 幸彦・安田 一郎: 親潮域周辺の高気圧性暖水・冷水渦の水塊特性, 日本海洋学会春季大会, 2010年3月, 東京海洋大学 [PDF]

  3. Itoh, S. and I. Yasuda: Water mass structure of warm and cold anticyclonic eddies in the western boundary region of the subarctic North Pacific, J. Phys. Oceanogr., 40, 2624-2642, 2010 [Abstract].

  4. Itoh, S. and I. Yasuda: Characteristics of mesoscale eddies in the Kuroshio-Oyashio Extension region detected from the distribution of the sea surface height anomaly, J. Phys. Oceanogr., 40, 1018-1034, 2010 [Abstract]

  5. Itoh, S. and T. Sugimoto: Numerical experiments on the movement of a warm-core ring with the bottom slope of a western boundary, J. Geophys. Res., 106, 26,851-26,862, 2001 [Abstract]

黒潮暖水塊はなぜ北上するのか?

その力学機構は未だ完全には解明されていない。 1つの可能性は急勾配の海底斜面による鏡像効果であるが、一方地形性ロスビー波の特性から考えれば、高気圧渦は西岸斜面に沿って南下するはずである。Itoh and Sugimoto (2001)では数値実験により海底斜面の勾配が十分急であれば、高気圧渦は海底斜面に沿って北上し得ることを示した。
(Ref. Itoh and Sugimoto, 2001JGR)

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AVISO配布の海面高度偏差から推定。
12週以上存続したもののみ追跡。
背景カラーは海面高度偏差

黒潮続流から切離した振幅の大きい高気圧渦(黒潮暖水塊)は日本、千島・カムチャツカ海溝(図の点線)に沿って北上する傾向がある。千島列島付近から南下する渦は冷水性高気圧渦の可能性。
(Ref. Itoh and Yasuda, 2010JPO)

AVISO配布の海面高度偏差から推定。
12週以上存続したもののみ追跡。
背景カラーは海面高度偏差

黒潮続流の南側の西進、海溝に沿って移動する高気圧渦に付随した北上傾向が見える。また低気圧渦は高気圧渦に比べ短命傾向。
(Ref. Itoh and Yasuda, 2010JPO)

高気圧渦の移動

低気圧渦の移動

高気圧性渦(黒潮暖水塊)の
北上再現実験

渦の回廊

長命渦(濃色:52週以上、淡色:12週以上)の移動経路

日本・千島カムチャツカ海溝、亜寒帯前線 (SAF)、亜寒帯境界 (SAB)に沿って渦が濃密に分布(渦の回廊、特に高気圧渦)。高気圧渦は海溝や亜寒帯前線に沿って O(1cm/s)で移動する傾向。黒潮続流周辺では、高気圧渦は北側、低気圧渦は南側を中心に出現し西進している。

高気圧渦

低気圧渦