NICAMは全球雲解像シミュレーションを行うことを目的として開発されているモデルで、京コンピュータや地球シミュレータの他、各大学の大型計算機などのスーパーコンピュータを活用して、主に14 km, 7km, 3.5km などの高解像度で利用されています。世界最速級の京コンピュータにおいては、870m 解像度の計算も可能となりました(Miyamoto et al. 2013). NICAMは、マッデン・ジュリアン振動(Miura et al. 2007, Miyakawa et al. 2014)や台風(Nakano et al. 2015)など、熱帯の対流活動との関わりの深い現象の再現性が良いことで知られています。 またNICAMは低解像度では大気大循環モデル(AGCM)として利用可能な他、ストレッチ格子システムを用いてデータ点を局在化させることによって領域雲解像モデル(Strech-NICAM)としても用いることができます。また、海洋結合バージョンも現在試運用が行われています(NICOCO)。
NICAMの開発は富田浩文・佐藤正樹により始められ、現在は東京大学大気海洋研究所(AORI)、海洋研究開発機構(JAMSTEC)、理化学研究所計算科学研究機構(RIKEN/AICS)によって共同開発が進められています。モデルの詳細については、Satoh et al. (2014, PEPS)、 Satoh et al.(2008, J.Comp. Physics)、 NICAM 公式ウェブサイトなどをご参照ください。