2016年7月8日毎日新聞朝刊にて
地球表層圏変動研究センター 井上豊志郎特任研究員の記事が掲載されました。
(2016年7月13日)



掲載内容:
「ひまわりEYE 雨の源水蒸気を追う」

 梅雨前線は太平洋高気圧とオホーツク海高気圧の境に発生し、その南北で水蒸気量の差が大きいことが特徴だ。前線上に低気圧や積乱雲が次々に発生し、大雨をもたらす。この雨の源となる水蒸気の分布を、ひまわり8号が克明にとらえた。
 ひまわり8号は、複数の波長の赤外画像を撮影でき、大気の状態をとらえる能力がひまわり7号より大きく向上している。複数の観測情報を処理すると、大気中に含まれる水蒸気の状態を細かくとらえられる。6月11日に赤外画像の二つの波長を使って分析したところ、前線の南側で水蒸気量が多く、北側は少なくなっていた。
 また、日本付近は2・5分ごとと、極めて高頻度の観測をしているため、水蒸気が風に乗って流れる動きの速い変化も把握できるようになった。
 水蒸気は目には見えないが霧や雨、蒸し暑さなどの源であり日常生活には身近な存在である。また、温室効果を持つため、地球の気候を考えるうえでも重要な要素である。太陽光のエネルギーも吸収することから、最近は太陽光発電分野でも無視できない存在になっている。
 日本上空に流れ込む水蒸気の量や場所が明らかになれば、大雨による気象災害を防止する上で重要な情報となるだろう。ひまわり8号の今後の観測データに期待したい。
<井上豊志郎・東京大大気海洋研究所特任研究員>

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毎日新聞電子版:
 http://mainichi.jp/articles/20160708/ddm/013/070/014000c