東京大学大気海洋研究所共同利用研究集会
海洋生態系モデリングの最前線:成果、連携、次世代への展開
開催概要
-
開催日:2015年3月4日(水) 09:30-17:15
3月5日(木) 09:00-12:30 - コンビーナ:山中 康裕(北海道大学大学院環境科学院)
大気海洋研対応者:伊藤 幸彦(東京大学大気海洋研究所) - 沿岸から外洋、赤道域から極域、表層から深海まで、環境の異なる海域にはそれぞれ固有の生態系が存在しており、それらは海水の流動や拡散、物質の沈降、生物の回遊を通して時間的・空間的に連環している。海洋生態系モデルは対象とする海域、時間スケール、栄養段階等に応じて構築され、各海域、各研究分野で生元素循環、食物網解析、水産資源変動、気候変動への影響評価等に関わる研究のプラットフォームとして活用されてきた。本研究集会では、我が国の海洋研究各分野で高度化が進められている様々な生態系モデルとそれに関わる知見を、「地球科学としての海洋生態系モデリング」というキーワードの元に集結し、成果発表と議論を通してモデル開発者、ユーザー、非モデルユーザーを含む分野内、分野間連携を深め、次世代モデリングへの展開の基礎とすることを目的とする。
プログラム
-3月4日(水)-
-
9:30–9:35
開会挨拶 山中 康裕(北大院・環境科学) -
9:35–9:45
趣旨説明 伊藤 幸彦(東大・大海研)
-
9:45–10:15
「MAREMIPと全球低次生産モデル開発の方向性」
橋岡 豪人 (JAMSTEC-RCGC) -
10:15–10:45
「地球システムモデルにおける海洋生態系モデルの役割と期待」
渡辺 路生 (JAMSTEC-SOUSEI)
-
10:45–11:15
「低次栄養段階生態系-魚類成長・回遊結合モデルの現状と今後」
伊藤 進一 (東大・大海研)
-
11:15–11:45
「沿岸域物質循環モデルの現状と課題」
舘野 聡(いであ株式会社)
- 11:45–13:00 休憩(昼食)
- 13:00–14:00 ポスター発表
-
14:45–15:15
「サブメソスケール解像生態系モデリング:高解像度化はどこまで必要か」
黒田 寛(水研セ・北水研)
-
15:15–15:45
「Optimality-based modeling: from theory to implementation」
Sherwood Lan Smith (JAMSTEC-RCGC)
-
15:45–16:15
「Role of Variability in Plankton Dynamics: Closure Modelling Approach」
Anupam Priyadarshi (海洋大院・海洋科学) -
16:30–17:15
議論 -
17:30–19:30
懇親会(大気海洋研究所1階 お魚倶楽部 はま)
セッション4 気候変動②
-
9:00–9:20
「地球温暖化に伴う水温上昇が日本沿岸生物の分布に及ぼす影響評価」
高尾 信太郎 (北大院・環境科学)
-
9:20–9:40
「温暖化に伴う深層対流の発達と溶存酸素の増加」
山本 彬友 (東大・大海研) -
9:40–10:00
「物質循環モデルのプラットフォームとしての気象研共用モデル(MRI.COM)」
中野 英之(気象研・海洋地球化学)
-
10:00–10:20
「海洋生態系-同位体分子種モデルを用いた西部北太平洋におけるN2O生成プロセスの解明」
吉川 知里 (JAMSTEC-BIOGEOCHEM)
-
10:20–10:40
「北極海アイスアルジーモデリング:セディメントトラップ観測との融合研究」
渡邉 英嗣 (JAMSTEC-RCGC)
-
10:40–11:20
ポスター発表 -
11:20–12:30
総合討論 -
12:30
閉会
ポスター発表(申し込み順)
-
藤井 賢彦(北大院・環境科学)
「地球温暖化・海洋酸性化が亜寒帯沿岸生態系に及ぼす影響評価・予測に必要なデータ取得のためのモニタリング観測 -北海道・忍路湾におけるpHの日周変動-」
-
西川 悠 (JAMSTEC-CEIST)
「三圏結合データ同化システムを用いた海洋低次生態系変動予測の試み」 -
三角 和弘(電中研・環境科学)
「高解像度北太平洋生物地球化学モデルの開発」 - 柴野 良太(北大院・環境科学)
「北太平洋域の水産資源に対する温暖化による影響評価」 - 干場 康博(北大院・環境科学)
「河川影響海域における海底傾斜と基礎生産の関係」 - 増田 良帆(北大院・環境科学)
「ニッチ分割に基づく植物プランクトン多様性の研究」 - 重光 雅仁(北大院・環境科学)
「CMIP5モデルによる貧酸素水予測の不確かさ」 - 小林 英貴(東大・大海研)
「南大洋の物理過程が海洋炭素循 環の変動に与える影響」 - 高科 直(九大・システム)
「沿岸水産資源管理における管理ユニットスケール選択の影響」 - 阿部 博哉(北大院・環境科学)
「亜寒帯汽水湖における生態系モデルの適用とその課題」 - 小柳津 瞳(北大・水産)
「サンマの耳石解析データと生物エネルギーモデルの融合 -回遊経路の推定-」
- 坂本 絢香(東大・大海研)
「高次栄養段階に注目した東京湾の生態系モデリング」 - 西川 史朗(JAMSTEC-CEIST)
「4次元変分法大気海洋結合データ同化システムとNPZDCモデルを用いた"三圏統合"同化プロダクトの作成」 - 尾崎 和海(東大・大海研)
「生物ポンプの確立と大気海洋の酸化還元状態:物質循環モデルに基づく考察」
開催報告
2015年3月4、5日に東京大学大気海洋研究所共同利用研究集会「海洋生態系モデリングの最前線:成果、連携、次世代への展開」(コンビーナー:山中康裕・北海道大学教授)が開催されました。大学、独立行政法人、国立研究所、都道府県水産試験場、民間会社等から2日間でのべ102名が参加し、低次から高次、沿岸から外洋まで様々な切り口の海洋生態系モデルとそれに関わる知見について、海洋研究各分野で活躍する研究者からの発表と議論がなされました。気候変動・魚類生産、環境評価、モデル開発というセッションで計13題の口頭発表があったほか、ポスターでも様々なテーマで14題の発表がありました。
また、研究成果発表のほかに、開発者からエンドユーザーまで含めた海洋生態系モデリングコミュニティーの相互理解、情報共有、次世代の育成、機関の枠を超えた教育・人材交流について活発な議論が行われました。
本研究集会は今後も継続予定で、2015年度は11月に東京大学大気海洋研究所で開催予定です。また、海洋生態系モデリングに関わる成果発信という視点で計画されている地球惑星科学連合大会海洋生態系モデリングセッション(2015年大会、セッション名A-OS23、幕張メッセにて5月24日開催、共同コンビーナー:伊藤進一東大教授、平田貴文北大特任准教授)とも連携しています。集会世話役とJpGUコンビーナーは、海洋生態系モデルに関わる連携や開発、活用を発展させていくため、メーリングリストやホームページの立ち上げ、発表スライドを含む資料の共有を進めています。ご興味のある会員はぜひご連絡ください。
お魚倶楽部「はま」での懇親会
※関連リンク: 大気海洋研究所AORIニュース-研究集会