2022年2月4日 国立大学法人東京大学大気海洋研究所 プレスリリースにて
地球表層圏変動研究センター 横山祐典教授らが発表を行い、
記事が掲載されました。



掲載内容
三陸海岸北部において1611年慶長奥州地震津波の物的証拠を発見 ―日本海溝沿いで発生する巨大津波の頻度に関する新たな知見―

発表のポイント
◆津波堆積物を含む地層を垂直方向に連続してミリ間隔の高密度で年代測定を行うことで、年代的に地層の欠損がないことを確認する手法を新たに開発し、抜け落ちのない津波の履歴を復元した。
◆三陸海岸北部(岩手県野田村)から地層を採取し、1611年慶長奥州津波由来の堆積物を発見した。一方で、同地層には 1454年享徳津波による堆積物は含まれないことも確認した。この結果は、1454年に享徳津波が三陸海岸北部を襲った可能性を否定するものである。
◆三陸海岸北部~中部における巨大津波発生間隔は、従来の想定より不規則であり、特に過去数百年間は、高頻度で巨大津波が発生していたことを明らかにした。

概要
津波堆積物は、過去に発生した津波の頻度や規模を推定する手段として活用されています。しかし、地層は連続的に堆積しているとは限らず、津波堆積物を含む一部の時代の地層が欠落し、津波の痕跡を見落としている可能性もあります。そこで今回、東北大学災害科学国際研究所の石澤尭史助教らの研究グループは、「津波堆積物を含む地層について、垂直方向に連続してミリ間隔の高密度で年代測定を行い、対象期間に関して年代的に地層の欠損がないことを確認する」手法を開発しました。さらに、三陸海岸北部(岩手県野田村)において、巨大津波でしか浸水しない内陸の地層を取り出し、本手法を適用することにより、三陸海岸の広域に被害を及ぼした巨大津波の履歴を復元しました。その結果、三陸地域における 1611 年の慶長奥州津波は、2011 年の東北沖津波や 1896 年の明治三陸津波と同規模の巨大津波であったことが示されました。また、従来、1454 年の享徳津波が三陸海岸を襲った可能性が指摘されていましたが、今回の研究から三陸海岸北部に享徳津波は襲来しなかったことが明らかになりました。日本海溝沿いで発生する巨大地震津波の頻度は約 500年間隔(2011 年東北沖津波、1454 年享徳津波、869 年貞観津波)とする説もありましたが、本研究からその発生頻度は不規則であることが明らかになりました(2011 年東北沖津波、1611 年慶長津波、869 年貞観津波)。さらに 1896 年の明治三陸津波のような津波地震 1)由来の巨大津波も考慮すると、三陸海岸では過去 400 年間に特に高頻度で巨大津波が発生していることも示されました。


発表雑誌
雑誌名:Quaternary Science Reviews

論文タイトル: Paleotsunami history along the northern Japan trench based on sequential dating of the continuous geological record potentially inundated only by large tsunamis

著者: Takashi Ishizawa, Kazuhisa Goto, Yuichi Nishimura, Yosuke Miyairi, Chikako Sawada, Yusuke Yokoyama

doi: https://doi.org/10.1016/j.quascirev.2022.107381


添付資料


17 世紀前半の試料を用いた年代測定結果の例。横軸上の黒色の分布で示したものが年代測定結果。15 世紀と 17 世紀の 2 通りのピークを持つ結果となり、どちらの年代か識別できないことが分かる。




詳しくはこちらをご覧下さい。

関連リンク

大気海洋研究所 プレスリリース(2022年2月4日)

東北大学 プレスリリース(2022年2月3日)