第1回シンポジウム
~豪雨・台風の高精度な予測をめざして~

【シンポジウム無事に終了いたしました】
「富岳」本課題の第1回シンポジウム「~豪雨・台風の高精度な予測をめざして~」を9月26日にオンラインで開催いたしました。当日は200名を超える方にご参加いただきありがとうございました。
初めてのオンライン開催となり、関東から遠く離れた地域の方からは、参加できたことへの嬉しいお声を多数いただいております。また、シンポジウム中に多数の質問をいただき、本課題への期待の高さを伺うことができました。本シンポジウムがさらに気象・気候予測への関心に繋がり、日々の防災にお役立ていただけましたら幸いです。
ご参加いただいた皆様に心から感謝申し上げます。今後もホームページ、SNS等で情報を発信していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【シンポジウムへ参加申込みをされた皆様へ】
この度はシンポジウムへお申込みいただき、誠にありがとうございます。 シンポジウムへの接続URLを、ご登録いただきましたメールアドレスへお送りいたしましたので、ご確認をお願いいたします。
まだ届いていない方がいらっしゃいましたら、下記表の「お問い合わせ」までご連絡下さい。

シンポジウム概要


リーフレット
開催日時
2020年9月26日(土) 13:30~16:30
開催方法
本シンポジウムは、「Zoom」を用いたオンライン配信で開催します。
参加費
無料
参加方法
下記参加申込みフォームより事前に申込が必要です。
※接続用URLの連絡は9月中旬頃を予定しております。
参加申込みフォーム
申込みは終了いたしました。
申込み締め切り
2020年9月18日(金)(先着順:定員になり次第、締め切ります。)
主催
東京大学大気海洋研究所
後援
一般財団法人 高度情報科学技術研究機構
お問い合わせ
東京大学大気海洋研究所 富岳課題事務局
電子メール:fugakuatmos@gmail.com

開催趣旨

近年、毎年のように、集中豪雨や台風が襲来し、河川の氾濫・洪水、暴風雨による激甚災害が頻発しています。今年7月には、九州・中部地方を中心に広域で梅雨前線による豪雨が日本列島を襲い、令和2年7月豪雨と命名されました。本プログラムでは、より高精度な「線状降水帯」の事前予測、いわゆる「ゲリラ豪雨」のピンポイント予測、「スーパー台風」の日本への襲来の予測等の実現を目指しています。世界トップの性能を誇るスーパーコンピュータ「富岳」を用いて、近年激甚化する集中豪雨・台風等の極端気象現象からの防災・減災を実現するための数値予測研究を進めます。数日から数週間~季節スケールの大規模アンサンブルの高解像度な気象・大気環境予測実験によって、避難・防災に資する確率予測情報の提供が可能な新時代の予測技術を確立することを目標としています。本シンポジウムでは、今夏の顕著な気象現象を振り返るとともに、本プログラムの目標および現在までの成果を報告いたします。

プログラム

【司会】八代 尚 / 国立環境研究所・地球環境研究センター・主任研究員

13:30~14:00
佐藤正樹「「富岳」成果創出加速プログラム「防災・減災に資する新時代の大アンサンブル気象・大気環境予測」の研究紹介」
[課題責任者] 佐藤正樹 / 東京大学・大気海洋研究所 教授
スーパーコンピュータ「京」による5年間の「フラッグシップ2020」プログラムによる準備期間を経て、今年度より「富岳」成果創出加速プログラムの本研究課題をスタートすることになりました。「富岳」を利用すれば、全球の雲を解像した1000アンサンブルの数値予測実験が可能です。本講演では高解像度の大アンサンブルシミュレーション等の「富岳」を利用した気象予測研究の現在と近未来の方向性について紹介いたします。
【講演資料】佐藤 正樹 

14:00~14:45
川畑拓矢「大アンサンブルが予測する豪雨・洪水」
川畑拓矢 / 気象研究所・気象業務支援センター 室長
線状降水帯のような狭い範囲に激しい豪雨をもたらす現象は、極めて予測が困難です。少なくとも狭い範囲の現象を予測するための高解像度な数値シミュレーションモデルや、激しい現象を捉える観測データが必要ですが、特に積乱雲はカオス的性質が強く、長時間の予測は不可能と言われています。従って、同じようなシミュレーションを多数、計算(アンサンブル計算)して、発生確率を求める手法が有効です。本講演では、大アンサンブル計算がどのような豪雨・洪水の予測情報を創出するのかということについて解説いたします。
【講演資料】川畑 拓矢 

14:45~15:00
休憩(15分間)

15:00~15:15
中野満寿男コラム「今夏の天気概況・集中豪雨や台風の動向を振り返る」
中野満寿男 / 海洋研究開発機構・地球環境部門・環境変動予測研究センター 研究員
7月は各地で豪雨が発生しました。日本付近に大量の水蒸気が流れ込んだことや、梅雨明けが平年よりも遅れた背後には、ジェット気流の大蛇行や熱帯の対流活動などが関与していそうです。また、7月は観測史上初めて台風が発生しませんでした。本コラムでは今回の豪雨を中心に地球スケールの視点で解説を試みます。
【講演資料】中野 満寿男 

15:15~16:00
雨宮新「局地的豪雨のリアルタイム実証実験」
雨宮新 / 理化学研究所・計算科学研究センター・データ同化研究チーム 特別研究員
急激に発生・発達する積乱雲による局地的な大雨は、「ゲリラ豪雨」と呼ばれるように予測が困難な現象であり、高頻度の観測の利用が正確な予測のために重要です。理化学研究所では、最新の観測技術であるフェーズドアレイ気象レーダを用いて30秒ごとに得られる3次元降水分布をモデルに取り込み、最大30分後までの予測を行うシステムを開発しました。2020年夏に行われるリアルタイム実証実験について紹介し、今後の展望について解説いたします。
【講演資料】雨宮 新 

16:00~16:30
質疑応答

文部科学省からのご挨拶
「富岳」成果創出加速プログラム「防災・減災に資する新時代の大アンサンブル気象・大気環境予測」第1回シンポジウムの開催に寄せて、一言ご挨拶を申し上げます。
皆さまも報道等ですでにご存じかと思いますが、スーパーコンピュータ「富岳」が今年6月のスパコンランキングの4部門で1位を獲得いたしました。「富岳」の高い総合力が証明されたものと認識しております。「富岳」は令和3年度の共用開始を目指して引続き整備・調整を進めておりますが、その一部の計算資源についてはすでに、「富岳」成果創出加速プログラムの皆さまにお使いいただいています。今後は「富岳」の高い総合力を、社会に貢献する成果にどのようにつなげていくかが重要と認識しております。成果創出加速プログラムの皆さまにはまさにその先頭を切って研究を進めていただき、様々な画期的な成果が生み出されることを期待しております。
ご存じのとおり、我が国では毎年のように集中豪雨や台風をはじめとした気象災害に見舞われております。今年は令和2年7月豪雨による大きな被害も発生いたしました。近年の激甚化する気象災害による被害をいかに防ぐかという観点で、豪雨や台風の高精度かつ十分なリードタイムを持った予測の実現は急務となっております。文部科学省としても気象庁をはじめとした関係省庁との連携を深めるとともに、今後の「富岳」の利活用が社会的な課題の解決により一層貢献できるよう、「富岳」の整備及び「富岳」を活用した研究を推進していきたいと考えております。
本シンポジウムでは「富岳」をはじめとしたスーパーコンピュータを用いた豪雨などの気象災害の予測や研究についてご紹介いただけると伺っております。日々たゆみない研究、技術開発を進めていただいている研究者の皆さまに敬意を表しますとともに、「富岳」の高い総合力の活用により本研究の成果が一層発展し、防災、減災という大きな社会的なニーズに対して大いに役立つことを祈念してご挨拶とさせていただきます。

文部科学省研究振興局参事官(情報担当)付
計算科学技術推進室長 宅間 裕子